計算式そのものより、端数をどこで処理するかで金額が変わります。
消費税の計算式はごく単純です。税抜から税込は1.1倍(軽減税率なら1.08倍)、税込から税抜は1.1で割るだけです。
迷いが生じるのは計算式ではなく1円未満の端数です。
ここは「必ずこうしなければならない」と一律に決まっているわけではなく、事業者が方法を選んで継続的に適用するのが基本です。ただし適格請求書(インボイス)では、端数処理の回数にルールがあります。
| やりたいこと | 計算 | 例(税率10%) |
|---|---|---|
| 税抜 → 税込 | 税抜 × 1.1 | 1,000円 → 1,100円 |
| 税込 → 税抜 | 税込 ÷ 1.1 | 1,100円 → 1,000円 |
| 税込 → 税額のみ | 税込 ÷ 1.1 × 0.1 | 1,100円 → 100円 |
軽減税率(8%)の場合は、1.1を1.08に読み替えます。よくある間違いは、税込から税抜を出すときに「税込 × 0.9」としてしまうことです。1,100円 × 0.9 は990円で、正しい1,000円になりません。割り戻すのであって、同じ率を引くのではないという点に注意してください。
2019年10月から、標準税率10%と軽減税率8%の2つが併存しています。軽減税率の対象は、おおまかに次の2つです。
同じ商品でも、持ち帰りか店内飲食かで税率が変わるのが分かりにくい部分です。判断に迷う取引がある場合は、国税庁の案内で個別に確認してください。
ここがいちばん実務で問題になる箇所です。たとえば税抜105円の商品を3個買った場合、次の2通りで結果が変わります。
1円の差ですが、件数が増えれば積み上がります。
適格請求書(インボイス)では、一つの請求書につき税率ごとに1回だけ端数処理を行うとされており、商品ごとに端数処理を行って合算する方法は認められていません。請求書を発行する立場なら、ここは押さえておく必要があります。
切り上げ・切り捨て・四捨五入のどれを選ぶかは事業者の判断ですが、選んだ方法を継続して使うことが基本です。取引ごとに有利な方法へ変えると、整合が取れなくなります。
いずれも「計算式を知らない」ことではなく、どの金額に対して何をするかを取り違えることで起きます。手を動かす前に、いま扱っている数字が税抜なのか税込なのかを声に出して確認するだけでも、間違いはかなり減ります。
消費税率は過去に何度か変更されており、今後も改正の可能性があります。実務で影響が出やすいのは、税率の切り替え日をまたぐ取引です。
基本的な考え方は、資産の譲渡やサービスの提供が「いつ行われたか」で判断されます。契約日や支払日ではなく、実際に商品を引き渡した日・サービスを提供した日が基準になるのが原則です。継続的なサービスや工事など、期間にまたがるものには経過措置が設けられることがあります。
ツールで計算するときも、その取引に適用される税率を自分で選ぶ必要があります。自動的に判定してくれるわけではないので、対象がどちらの税率かを確認したうえで計算してください。判断が難しい取引は、国税庁の案内や税理士に確認するのが確実です。
明細ごとに税込金額を書くのではなく、税抜の小計を出してから税率ごとに消費税額を計算するのが基本の形です。適格請求書では税率ごとに1回だけ端数処理を行うため、この順序で作ると自然にルールに沿います。逆に、明細行ごとに税込金額を出して足し上げる作り方は、金額がずれる原因になります。
レシートに8%と10%が混在していることがあります。合計だけを見て一律10%で割り戻すと、税額が実際と合いません。レシートには税率ごとの区分が記載されているので、そこを見て分けて計算してください。特に飲食料品を含む買い物では混在が起きやすくなります。
「税抜1,000円」を基準に決めると、税込は1,100円と半端になります。逆に「税込1,000円」を基準にすると税抜が909.09…円となり、こちらも半端です。どちらを基準にするかは、見せたい価格がどちらかで決めてください。消費者向けなら税込で切りのよい数字にしたほうが伝わりやすく、事業者向けなら税抜基準のほうが計算しやすくなります。
消費税計算は、税抜と税込を相互に変換し、税額も同時に表示します。10%と8%を切り替えられるので、軽減税率が混ざる場面でも確認しやすくなっています。入力した金額は端末の中だけで扱われます。
値引きと組み合わせる場合は割引価格、会計を分ける場合は割り勘も合わせて使えます。
税込価格を1.1で割ります(軽減税率8%なら1.08で割ります)。税込1,100円なら1,100 ÷ 1.1 = 1,000円です。よくある間違いは0.9を掛ける方法で、これでは990円になり正しい金額になりません。
法律で一律に定められているわけではなく、事業者が方法を選んで継続的に適用するのが基本です。切り捨て・切り上げ・四捨五入のいずれも取り得ますが、取引ごとに変えるのではなく、一貫した方法を使ってください。
飲食料品(酒類と外食を除く)と、週2回以上発行される定期購読の新聞が主な対象です。同じ商品でも、持ち帰りなら8%、店内飲食なら外食にあたり10%になります。判断に迷う取引は国税庁の案内で確認してください。
あります。適格請求書では、一つの請求書につき税率ごとに1回だけ端数処理を行うこととされています。商品明細ごとに端数処理をして合算する方法は認められていません。請求書を発行する立場の方は、システムの設定がこれに沿っているか確認してください。
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